器は「料理の着物」と称されます。 同じお料理を作っても、盛り付ける器を変えるだけで、食卓の空気は驚くほど豊かな広がりを見せてくれます。
本日は、お料理が映える器の選び方と、食卓コーディネートの妙について。夏の定番である「枝豆のすり流し」を例に、器で料理が変わる瞬間をご紹介します。
■ 黒のうつわ | シックでモダンな食卓へ 夏の淡い緑色が美しい、枝豆のすり流し。

ざらりとした土の質感が残る黒い釉薬(鉄釉など)の器にふわりと盛り付けると、緑と黒の美しいコントラストが際立ち、シックで大人びた佇まいになります。 光を鈍く反射する深い黒の器は、お料理の色をぐっと引き締めてくれる存在。和食の枠にとらわれず、和洋折衷のメニューの始まりなど、モダンな食卓にも心地よく調和してくれます。
■ ガラスのうつわ | 凛とした涼感を呼ぶ

同じすり流しをガラスの器に移してみると、今度は透き通るような涼やかさが生まれます。 側面に施された柔らかなモール(縦縞)や、ぽってりとした手吹きガラスならではの曲線がすり流しの淡い緑色を優しく包み込み、目から入る涼感で夏の暑さを静かに和らげてくれます。夏の前菜としてぴったりの、凛とした端正な雰囲気を演出したい時に頼りになる組み合わせです。
■ 信楽焼のうつわ | 土の温もりと本格的な和の趣

そして、土の表情が豊かな信楽焼(しがらきやき)の器へ。 ぽってりとした温もりのある土ものに盛ることで、先ほどまでのモダンさや冷涼感とは違う、ほっこりとした安心感が漂います。自然な土の風合いが残る器の景色は、どこか料亭を思わせる静かな佇まい。これから丁寧に作られた本格的な和食が始まるという、心地よい期待感を高めてくれます。
どんな和食器を選ぶかによって、食卓のコーディネートは無限の広がりを見せてくれます。 同じお料理でも、その日の気分やシーンに合わせて器を着替える。それは、毎日の食事の支度を楽しく、豊かな時間に変えてくれるささやかな魔法です。
ぜひ、ページ下部に並んだうつわたちのなかから、あなたのお料理を静かに引き立てる一枚を見つけてみてください。
食卓が、心地よいものでありますように。
うつわ御結