佐賀県伊万里市に窯を構える「文祥窯(ぶんしょうがま)」。 その三代目である馬場光二郎(ばば こうじろう)さんの手がける器をご紹介します。
近年、さらに多彩な技法で表現の幅を広げられている馬場さんですが、今回「うつわ御結」が皆さまの日常にお届けしたいのは、私たちの定番としてセレクトしている「白磁」と「染付」の器です。

■ 泉山の石から土を育てる、三代目の仕事
文祥窯の器は、精製された既製の粘土を使うのではなく、有田焼の原点である「泉山磁石場」などから、馬場さん自らが陶石を採掘して作られているそうです。
掘り出した硬い石を砕き、水に晒し、時間をかけて一本の粘土へと育て上げる。
その気の遠くなるような土作りの後も、さらなる手間と時間がかけられています。
成形し、絵付けを施した器たちは、昔ながらの薪窯(登り窯)で焼き上げられます。
一度火を入れれば、1300度近い高温に達するまで、昼夜を問わず数十時間も不眠不休で薪をくべ続けなければならないのだとか。炎の動きや窯の温度変化から片時も目を離せない、その壮絶さが伺えます。
焼き上がった後も、窯が自然に冷めるまで何日もじっくりと待ち、ようやく器が取り出されるため、火を入れてから窯を開けるまで優に一週間以上かかるそうです。
こうした丁寧な手順を経て生まれる白磁には、量産品の真っ白な磁器にはない、独特の柔らかな白さと手仕事ならではの気配が宿っています。
■ 国内外の料理人を魅了する、引き立てる力

この「料理が主役になる」実直な佇まいは、ご家庭の食卓だけでなく、国内外の目の肥えたトップシェフや名だたるレストランからも高く評価され、実際に広く愛用されています。
プロの料理人が信頼を寄せるのは、器自体が主張しすぎず、盛り付けた料理の色彩や瑞々しさを静かに受け止める度量があるから。 日常の何気ないおかずや、毎日のお茶碗のご飯を盛ったときにも、その引き立てる力をきっと実感していただけるはずです。
一客ごとに異なる土の表情、薪の炎が残したわずかな揺らぎ、そして一筆ごとに異なる藍の濃淡を、ぜひ日々の食卓で愉しんでみてください。
食卓が、心地よいものでありますように。
うつわ御結