伊賀の地で作陶を続ける作家、新 学(あたらし まなぶ)さん。その作品の根底にあるのは、古伊賀の精神を受け継ぎながらも、現代の食卓に静かな力強さを添える、実直な手仕事です。
今回は、土と火の対話から生まれる「灰釉(かいゆう)」と、深く鮮やかな「織部(おりべ)」の魅力をご紹介します。
■ 土と灰が織りなす、自然な色合い

新 学さんの器を眺めていると、そこにはひとつとして同じ表情がないことに気づかされます。
力強い土の質感に、木を燃やして生まれた灰が降りかかり、窯の中で高温にさらされることで生まれる色彩。
それは、計算された美しさというよりも、土と火と灰が対話を重ねて生まれた「自然そのものの色」と言えるかもしれません。
緑がかった深い発色や、流れるような釉薬の景色は、食卓に奥行きを与えてくれます。
■ 織部 ― 深い緑が引き締める、静かな対比
灰釉の柔らかな変化に対し、新さんの手がける「織部」は、キリリとした表情が魅力です。
深く、瑞々しい緑。その色が器の輪郭を際立たせ、食卓に心地よい緊張感と華やかさをもたらします。灰釉と織部、それぞれの器を並べて使うことで生まれる、土ものならではの豊かなコントラストも、新さんの器を揃える愉しみのひとつです。

■ 料理との相性 ― 豪快さと繊細さ
一見すると無骨に感じるかもしれませんが、実際に料理を盛り付けるとその「用の美」が際立ちます。
焼き魚の香ばしさ、瑞々しい野菜の緑、あるいは素朴なおにぎり。

新さんの器は、どのような食材もその懐の深さで受け止め、料理の色を鮮やかに引き立ててくれます。
作家ものの器だからと身構える必要はありません。
日々の献立に寄り添い、使うほどに手に馴染んでいく。そんな「実直な道具」としての佇まいが、新さんの器には宿っています。
【今回ご紹介した器】
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灰釉長皿(新 学)
魚料理はもちろん、前菜を少しずつ並べても。食卓にリズムを生む長皿です。
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灰釉叩き長角皿(新 学)
叩きによる凹凸が、光を美しく反射します。土の気配を強く感じる一枚です。
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織部淵高角皿(新 学)
新さんの手がける織部。深みのある緑が、食卓をキリリと引き締めます。
器は、日々使われ、人の手に触れることで、その場所ならではの風景になっていきます。
新さんの灰釉の器で、手仕事のある暮らしを始めてみませんか。
食卓が、心地よいものでありますように。
うつわ御結