ジャーナル
うつわの世界でよく耳にする「景色(けしき)」という言葉。 これは、焼き物の釉薬の表情や、ひび割れなどの美しさを表す専門用語です。 作家もののうつわは、同じ窯で焼かれた同じ種類の器であっても、決して一つとして同じものはありません。炎の温度や土の性質、その日の気候といった偶然が重なり合って生まれる一点ごとの表情。それこそが、うつわの「景色」です。
新米、きのこ、根菜。実りの秋は、食卓に並ぶ食材そのものが豊かな力強さを持っています。 そんな秋の味覚を静かに受け止め、日々の食卓に心地よい「余白」を生み出してくれるのは、土の温もりを感じるうつわたちです。
和食器の世界で耳にする「向付(むこうづけ)」という言葉。 もともとは茶懐石から生まれた言葉ですが、実は現代の食卓でも非常に使い勝手が良く、日々の食事に心地よい「ゆとり」をもたらしてくれる頼もしい道具です。
毎日の食事の支度。忙しい時はつい省いてしまうこともある「箸置き」ですが、実は食卓の空気を最も簡単に、そして劇的に変えてくれる頼もしい道具です。 食卓に並ぶ一番小さなうつわである箸置き。 本日は、日々の暮らしに静かな落ち着きをもたらす箸置きの魅力と、心地よい付き合い方についてお伝えします。
白い素地に、藍色の顔料(呉須)でスッと描かれた模様。 和食器と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべる「染付(そめつけ)」のうつわは、日本の食卓に最も馴染み深い道具のひとつです。
少しずつ集めた作家ものの器。増えていくほどに悩ましいのが、限られた食器棚での収納です。器を傷つけずに重ねるコツと、日々の暮らしに寄り添う収納の工夫をご紹介します。
器は「料理の着物」と称されます。 同じお料理を作っても、盛り付ける器を変えるだけで、食卓の空気は驚くほど豊かな広がりを見せてくれます。 本日は、お料理が映える器の選び方と、食卓コーディネートの妙について。夏の定番である「枝豆のすり流し」を例に、器で料理が変わる瞬間をご紹介します。
毎日暑い日が続き、キッチンに立つのも少し億劫になる季節。 そんな夏の食卓で頼りになるのが、そうめんやお蕎麦、冷やし中華といった冷たい麺料理です。 手軽に作れて喉越しも良いメニューですが、続くとなんだか少し味気なく感じてしまうこともあるかもしれません。 そんな時こそ、作家の手仕事による「うつわ」の出番です。 特別なお料理を用意しなくても、うつわの力を少し借りるだけで、いつもの麺料理は目にも涼やかで心満たされる豊かな一品へと変わります。 本日は、夏の麺料理を静かに引き立てる器選びと、盛り付けのヒントをご紹介します。 ■ そうめん | 「余白」で凛とした涼感を演出する そうめんは、ガラスの器や、澄んだ水のような青磁(せいじ)、染付(そめつけ)といった涼やかな器と相性が抜群です。 たっぷりのお水と一緒に大きな鉢に泳がせるのも夏の風物詩ですが、一人分ずつ7寸(約21cm)ほどの平皿や浅鉢に氷と共に盛り付けるのも美しいものです。 器の「余白」をあえて多めに残すことで、凛とした静かな涼感が生まれます。傍らには、薬味を少しずつ載せた豆皿をいくつか並べて。 それだけで、いつものそうめんが小料理屋のような端正な表情を見せてくれます。 ■ 冷やし中華 | 「浅鉢」で彩りを優しく受け止める 色とりどりの具材が賑やかに乗った冷やし中華には、少し深さのある「浅鉢(あさばち)」がよく似合います。...
日本料理において、器は「料理の着物」と称されます。 大切な客人をお迎えする席で、格のある器や、作家の手仕事による価値あるうつわを選ぶこと。それは言葉を尽くす以上に、「あなたを心から歓迎しています」という敬意を伝える、日本独自の美しいもてなしの文化です。 けれど、それは家庭において「懐石料理のような完璧なご馳走を用意しなければならない」という意味ではありません。 うつわ自体に空間を整える力(格)があれば、お料理はいつもの慣れた味やシンプルな旬の素材でも十分に引き立つのです。 大切なのは、そのうつわの力を生かすための「組み立てかた」を知っておくことです。 ■ 骨組みを決める | 和か洋か、コースか盛り込みか おもてなしの食卓を組み立てる際、まず最初に考えたいのは、その日の食卓の「骨組み」です。 メニューは和食にするか、それとも洋食にするか。 そして、ひと皿ずつ丁寧にお出しするコース仕立てでうつわを重ねていくのか。 あるいは、みんなで和やかに取り分けるスタイルにして、存在感のある「中鉢」や「大鉢」へ盛り込むのか。 この大きな方向性を最初にひとつ決めるだけで、並べるべき器の役割が自然と定まり、当日の佇まいにも美しい一貫性が生まれます。 ■ 豆皿や長皿で涼やかなリズムを 一人ひとりに器を用意するコース仕立てのスタイルなら、席について最初に目に入る前菜の格を大切に。 つるりとした白磁や染付、あるいはガラスなどの小さな豆皿や小鉢を盆の上にいくつか並べてみてください。または、スッと一本の線を描くような「長皿」に、季節の野菜を少しの余白とともに盛り付けるのも美しいものです。 手元に小さな器たちが並ぶことで、食卓に静かなリズムが生まれ、気の利いた涼やかな演出になります。...