ジャーナル
窓から入る光が少しずつ力強さを増し、草木の緑が鮮やかになってきました。 日々の食卓にも、どこか瑞々しさを求めたくなる季節ですね。 うつわ御結の店舗でお客様とお話ししていると、よく「陶器と磁器って何が違うの?」というご質問をいただきます。 なんとなく「土っぽいのが陶器、白くてツルッとしているのが磁器」というイメージはあるかと思いますが、その違いを知ると、自分にとっての実直な器 選び方がより明確に見えてきます。 今日は、そんなやきもの 種類の基本について、少しお話しします。 ■ 「原料」と「温度」が作る、二つの表情 最大の違いは、その「原料」と「焼成温度」にあります。 陶器(とうき) 粘土(陶土)を主原料とし、1,000〜1,200度前後で焼き上げます。 粒子が粗いため吸水性があり、手に持った時のぬくもりや、どこか素朴で柔らかな質感が特徴です。使い込むほどに色が変化していく「育てる」楽しみがあるのも陶器ならではの魅力です。 磁器(じき) 石の粉(陶石)を主原料とし、1,300度以上の高温で焼き上げます。 非常に硬く、吸水性はほとんどありません。光を通すほど薄く仕上げることができ、端正で凛とした表情を持っています。 ■ 私たちのおすすめの「使い分け」 その時の気分や料理に合わせて選ぶのが一番おすすめです。 例えば、朝の静かな時間に温かいお茶を飲むなら、熱が優しく伝わる陶器の湯呑みが心地よいですし、暑い日にキリッと冷やしたお刺身やサラダをいただくのであれば、清涼感のある磁器が料理をより涼やかに見せてくれます。...
季節は春まっさかり。 何かが新しく始まる時期に、新しい器を一から揃えようとお考えの方も多いかと思います。 でも、器を選ぶことが本当に「初めまして」の場合、「では何から揃えたらいいのだろう?」と迷う方も多いのではないでしょうか。 形、サイズ、素材、色、、、 初めて作家ものをはじめとする器に触れる場合、一度に買い揃えないといけないと感じるかもしれません。 まずは、「これ、いいな」と思える器から。 枚数は人数分でなくても大丈夫です。 同じ種類の器を揃えなくても、少しずつ増えていくことで、組み合わせを考える楽しみも生まれます。 統一感を出したい場合は、銘々皿(取り皿)だけ人数分揃えたり、箸置だけ揃えたりすると、まとまりやすくなります。 実用的に必須な器から買いたい! という場合は、まずは普段、ご自分が召し上がるお食事を考えてみてください。 「カレーやワンプレートが多いな」という場合は直径22-24cmくらいの程よい深さのお皿がお勧めです。 ご飯とおかず、という食事であれば、お茶碗に加えて、よく食べるおかずに合わせた器を。 お魚が多いのか、お肉が多いのか、汁物はどのくらいの頻度で登場するのか。 日々の食事から考えていくと、自然と必要な器が見えてきます。 では、いくつか組み合わせて選ぶ場合は? いくつかまとめてのご購入を検討されている場合は、...
桜の便りが聞こえてくる頃、食卓にも少しずつ春を取り入れたくなります。ふきのとう、たらの芽、白魚——春の旬の味わいは、盛り付ける器ひとつで、その美しさも深みも変わります。 器は、料理の最後の衣装です。季節にふさわしい器を選ぶことは、食卓に豊かな時間を贈ること。この春、うつわ御結がお届けする「春の器たち」をご紹介します。
さて、先日ご紹介した『うつわ羈旅vol.2』――本田直之さんを聞き手としてお迎えし、宮坂さん、酒井さんに器の選び方についてお話を伺った記事の英語版を作成しました。 日本語版の作成時から印刷用の記事作成を担当し、何度も何度も、何度も読み返し、推敲を重ねました。 インタビュー記事なので、私が大きく加筆することはありませんでしたが、本田さんが丁寧に引き出してくださったお二人の言葉の奥にある想いが、読み手さんにしっかりと伝わるように力を注ぎました。 器との出会いから、お客様へのおもてなしの心まで―― 宮坂さんの言葉の端々からは、器そのものへの敬意と、そこに寄り添う感性が静かに、けれど確かに伝わってきました。 茶道のたしなみ、京都の料亭で培われた目と心。そうした背景があるからこそ、季節のうつろいを感じさせるしつらえや、空間そのものに宿る“もてなし”の気配に、私は何度も息を呑みました。 日本人がふと口にする「あ、いいな」という感覚。 それは誰もが心に持ちうるものかもしれませんが、それを他者へと手渡すには、知識やセンスはもちろん、細やかな気配りを惜しまない姿勢が必要なのだと、あらためて気づかされます。 そしてそれを、宮坂さんはまるで呼吸をするように、自然に実践されている。 以前『ようび』についてジャーナルを書いたとき、気づけば何度も宮坂さんの姿が思い浮かび、胸が熱くなったのを覚えています。器を通して見える世界の豊かさを、また一つ教えていただいたような気がしています。 そして、酒井さん。 器、食材、お酒、スタッフ――すべての存在に、背景ごと丁寧に目を向けるその姿勢に、何度もうなずかされました。 ただ「良いもの」を選ぶのではなく、それがどこから来て、誰の手を経てここにあるのかまでを大切にされている。そのまなざしは、単なる“選び手”ではなく、つくり手と共に歩む“つなぎ手”のようでもありました。 器に対する知識も想いも、自分は到底敵わないなぁと遠く感じながらも、 その語り口にふと作家さんたちの顔が浮かび、酒井さんの事をお話ししたら 「こんなふうに器を見てくれる人がいるんだ」と、きっと嬉しく思うだろうな、と、私まであたたかい気持ちになりました。 また、お話の端々からは、共に働くスタッフへの気配りや育成にも力を注がれていることが伝わってきて、思いやりが自然ににじむそのあり方に、酒井さんの懐の深さを感じました。...
さて、今回は新しい試みについてのお話を。 工芸店ようびが新しく仲間になってから、インスタなどの更新を目にするようになり… まぁ、インスタとブログの素晴らしいこと。 それもそのはず。コーディネートや調理・撮影は、辻調で講師・勤務経験がある店主・真木さんとOさんの強力タッグ。 「うつわは盛ってこそだから、いつか食材を盛り込んだ写真も…」 これまでもそんな話をしていた御結店主・雷太さんですが、ようびの発信に触発され、ついに御結でも初めての撮影に踏み切りました。 ⸻ 初めての撮影会 「家庭的で良いよ」とのことだったので、母がひな祭りの時期になると作ってくれていた懐かしい味たちを再現することに。 「どれに何を盛るんだっけ?」「あれ?器足りない?」「持ってこようか?」 懐かしさに浸る間もなく、バッタバタと全員で大慌ての中、なんとか撮影完了。 その夜は緊張しながら真木さんにも撮影の報告と写真をお送りしました。 ⸻ その後大阪修行の際、真木さんから 「あの写真だけど、もう少しね、合わせ方なんかを知ったらいいと思うわ」 と、店舗の器を使いながら直接アドバイスをいただくことに。 知識不足、センス不足、経験その他もろもろ不足だらけの私が真木さんから直に学べる。 こんなに贅沢でありがたい機会、そうそうありませんよね。...
先日、大阪にある工芸店ようびの事業承継についてのお知らせをしました。 平たく言えば「事業拡大」や「M&A」という言葉に置き換えられるかもしれません。ですが、実際にはそれだけでは語りきれない、もっと温もりのある出来事だと、今も強く感じています。 ようびについて調べるほどに、長く器を愛する人たちの間でその名が深く刻まれているお店だったことを改めて実感しました。 名店の料理人や作家の方々だけでなく、多くの人々がその存在を知り、憧れ、足を運んできた場所。 だからと言って単に「わーい!」と飛びつけるような話ではなく、承継前も承継後も、さまざまな課題があることは実際の推進者でなくとも、想像に難くありませんでした。 今回の件で、私自身たびたびPMI業務で大阪へ赴き、姉妹店となったようびの店主真木さんや社員の皆さんから多くのことを教わるうちに、これは単なる事業の承継ではなく、「文化の継承」なのだなと、感じています。(PMI業務よりも修行要素多めです) “心地よさ”を生み出す知恵 ようびの店内には、生活の中で「心の豊かさ」を育む小さなコツが、いたるところに散りばめられています。それは、日本人の暮らしの中に根付いていながらも、少しずつ失われつつある「なんだか心地いいな」を感じる瞬間を生み出す知恵。相手を思いやり、手間を惜しまず、美しいものを丁寧に扱うこと――。 これまでようびで真木さんが紡いできた素晴らしい繋がりを大切にしながら、大阪へ行くたびにそのようなことを少しずつ教わり、御結と一緒になったことにより更に多くのお客様にお伝えして行けたら、と思っています。 そう言ったぬくもりある分野を大切にしようと考える、信頼を寄せられるリーダー達が東京にも大阪にも居る、というのは本当に幸せなことですね。 (ようびではみなさん、決まった時間にお茶をいただき、たまにおやつも。 今日のおやつは漆器に乗せられたいちごで、なんともまぁとても豊かな気持ちになる贅沢なおやつタイムでした。) 次回のジャーナルでは、「ようびのサイトを参考に、御結でも早速お皿に料理を盛って撮影してみたら、ダメ出しされた話」をお届けする予定です。 今後とも御結とようびをどうぞよろしくお願いいたします。 ...
先日、青山うつわ御結にて、うつわ御結の店舗移転と、新たに姉妹店となった工芸店「ようび」のお披露目会を開催いたしました。 この日は、飲食業界のうつわを愛する多くの方々にご来場いただき、私たちにとっても特別なひとときとなりました。 (王様仕様のバカラ達は今も御結でご覧いただけます。) 今回は、職人技の光る美しい輪島漆器や、多くのようびらしい器たちを御結に迎え、いつもとは違ったラインナップをお楽しみいただきました。 会場では、酒井商会の酒井さんによる心のこもったお食事や美味しいお酒が振る舞われ、お箸が進むにつれ皆様の表情も自然とほころんでいくのが印象的でした。 静かにじっくりとうつわを手に取る方、会話に花を咲かせる方、初めての出会いに心躍らせる方―― 思い思いに過ごす姿を眺めながら、改めて「うつわは人も繋ぐ」ことを実感しました。うつわ御結として、このような場を設けることができたことを、心から嬉しく思います。 また、当日は店内に美しい花々が飾られ、お祝いのお言葉をたくさん頂戴しました。遠方から足を運んでくださった方、お忙しい中時間を作ってくださった方、そして温かいメッセージを寄せてくださった皆様に、心より感謝申し上げます。 ...