染付 | 江戸の粋を受け継ぐ、青と白の実直なうつわ

染付 | 江戸の粋を受け継ぐ、青と白の実直なうつわ

白い素地に、藍色の顔料(呉須)でスッと描かれた模様。 和食器と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべる「染付(そめつけ)」のうつわは、日本の食卓に最も馴染み深い道具のひとつです。

古くから愛されてきた染付ですが、ひとくちに「青と白」と言っても、現代の作家の筆遣いや技法によってその表情は驚くほど多彩です。本日は、そんな染付の持つふたつの魅力と、うつわに描かれた文様の意味についてお伝えします。

 

■ 染付のふたつの表情 | 「温かみ」と「線の美しさ」

 


染付のうつわをよく見てみると、大きく分けてふたつの美しい表情があることに気がつきます。

ひとつは、昔ながらの「古染(こそめ)」の趣を感じさせる、少し力の抜けたおおらかな美しさ。 素焼きの生地が顔料を吸い込むことで生まれる色の濃淡や、わずかなにじみ。完璧すぎないその素朴な風合いは、食卓にホッと息をつけるような温かな「余白」を生み出してくれます。

もうひとつは、息を呑むような「繊細な線」の美しさです。 極細の筆を使い、迷いのない手つきで描かれる幾何学模様や細やかな線引き。作家の研ぎ澄まされた集中力が宿るその凛とした線は、いつものお料理を盛るだけで、食卓の空気をピシッと端正に引き締めてくれます。

 

■ 文様の意味 | 日々の食卓に、静かな願いを添えて

 

染付に描かれる伝統的な文様には、一つひとつに美しい意味が込められています。

「亀甲菊」や「菊雷紋」 長寿や魔除けの意味を持つ「亀甲(六角形)」や、絶え間なく続く繁栄を意味する「雷紋(四角い渦巻き)」に、高貴さや邪気払いの象徴である「菊」を合わせた吉祥文様です。細やかな線で描かれた力強い柄は、日常の食卓に背筋の伸びるような清々しい空気を運んでくれます。

「吾唯足るを知る」 京都・龍安寺のつくばい(手水鉢)に刻まれていることでも有名な禅の言葉。「不満を持たず、今あるもので満足する心を知る」という意味を持つこの文字が描かれたうつわは、忙しい日々の中で、目の前にある食事やささやかな日常のありがたさを静かに思い出させてくれます。

■ 現代の食卓に馴染む秘密 | うつわ界の「デニム」

 

これほどまでに深い意味や手仕事の技が詰まった染付が、なぜ現代の和洋折衷の食卓にも心地よく調和するのでしょうか。 その理由は、白と藍色の圧倒的な「清潔感」と「包容力」にあります。

ファッションで言えば「白いTシャツにデニム」のようなもの。 トマトの赤や卵の黄色、葉物の緑といった鮮やかなお料理をパッと引き立て、和食はもちろん、カレーやパスタをざっくりと盛り付けても不思議と景色がまとまる頼もしい存在です。

私たちがご提案したいのは、ガラスケースに飾っておくための骨董品や美術品ではありません。料理を盛り付けて初めて完成する、実用性を備えた現代の「道具」です。 作家の筆遣いが心地よい一枚を、ぜひあなたの日々の暮らしにも取り入れてみてください。

食卓が、心地よいものでありますように。

うつわ御結

 

← 古い投稿